城南コンサル塾18期の塾生22名は、小泉誠二講師と城南コンサル塾スタッフ3名のもとで、2月22日に大田区の町工場2社を見学しました。工場見学は、コロナ禍により3年ぶりのものでした。
工場見学の前には、大田区産業プラザの会議室で、小泉講師からガイダンスが行われました。写真を使用しながら、金属旋盤加工とマシニング加工の特徴や現在の町工場の状況など、参加者が事前に知っておくべき最低限の知識を説明していただきました。
その後、2つの工場を見学しました。町工場の集積地である大田区の工場らしく、2社の工場は隣合っています。参加者は2班に分かれ、工場内の設備を見学しながら、経営者からご説明を伺いました。経営者たちは時代の変化に合わせて既存の技術を活かしつつ新しいことに挑戦しており、参加者たちはその話に熱心に耳を傾けました。
最後に、大田区産業プラザに戻り、2社の経営者から、各社の経営方針や実践についてご説明いただきました。1社目は、令和3年に就任した若い3代目社長のもと、新しいことに積極的に挑戦している会社です。その社長の将来ビジョンに基づいて、スタートアップと共同で世界最速の3Dプリンターの開発・製作を進めるなど、先進的な取り組みを行っています。2社目は、長年にわたって培ってきた精密機械部品加工の技術力を最大限に発揮している会社です。現社長が会社を引き継いだ後、バブル崩壊やリーマンショックなどいくつもの経済的な波を乗り越え、ISO9001品質マネジメントシステム認証を取得し、品質管理を徹底するとともに、コロナ禍を機にBtoCの市場への進出を目指しています。このような町工場の挑戦に対し、塾生から多くの質問が出され、活発な質疑応答が行われました。
1回の工場見学で2社を訪問するのは、コンサル塾工場見学史上初めての試みでした。運営側には大変な負担がかかったことでしょうが、そのおかげで2社を比較しながら多くの学びを得ることができました。1社目は確かな技術力をベースに若い力で夢やビジョンを追求する企業であり、2社目は長年培ってきた技術力を最大限に発揮する企業でした。このように町工場と呼ばれる企業でも、それぞれの特徴や形態があることを再認識し、多様性に感銘を受けました。さらに、社長がビジョンを示し、社員を引っ張っている点や社員教育に力を入れている点、そして地域とのつながりを大切にしている点に共通点があり、その姿勢に感心しました。特に、町工場の集積地である大田区で出来ることは何かを常に考え、行動している点には感銘を受けました。また、工具の貸し借りが日常的に行われているという、大田区ならではの文化を知り、町工場の魅力に再度気付かされました。
先日、我々城南コンサル塾18期生は卒塾を迎えました。今回の工場見学を通じて学んだ「現場、現物、現実」と「経営者に寄り添った伴走支援」を大切にしながら、プロのコンサルタントとして経験を積んでいきたいと思います。
最後に、工場見学を受け入れてくださった経営者・工場の皆様、素晴らしい工場を紹介いただいた小泉講師、そして支えてくださったスタッフの皆様に、心より感謝申し上げます。
(Writer:城南支部 大滝 秀雄)