11月10日の事前打合せから2月24日の最終報告会まで、約3カ月半に渡り行われた実務実習に参加しました。本実習は都内で複数店舗を展開するベトナム料理店様が対象で、岩崎彰吾塾長、副指導員の義盛貴之会員、原昭彦会員のご指導の下、城南コンサル塾の伊藤晴信会員、片山仁会員、栗林健会員、佐藤真武会員、渡邊嘉久会員と阿波直樹(筆者)の計6名で参加しました。座学で得た知識を実際の現場でいかに適用し、「事業調査報告書」としてまとめ上げるか、カリキュラムの集大成となる挑戦でした。

 今回の対象企業様は、本場の味と空間に徹底してこだわり、多くのお客様に愛されている魅力的な飲食店です。経営陣へのインタビューや実地調査で私たちが直接触れたのは、社長の「ベトナムの魅力を日本の人たちに伝えたい」という情熱と、従業員を家族のように大切にする温かい企業文化でした。なんとかこの想いに応えたいと、チーム全員が膨大なデータ分析と競合調査にのめり込んでいきました。

 本実習において、岩崎塾長から掲げられたコンサルティングのテーマは「強みを活かす経営」でした。そのため私たちが最も重きを置いたのは、華々しい課題解決策を拙速に提案することではなく、対象企業様が持つ真の強みと直面している課題を客観的に浮き彫りにする「徹底的な現状分析」です。優秀な原価率などの強みがある一方で、社長が掲げる高いビジョンを達成するためには、現在の収益構造や組織の状況を冷静に分析し、ファクトに基づいた分析を行う必要がありました。連日の議論では、何が本当の強みなのか、その解釈や分析の切り口を巡って意見がぶつかり合い、膠着してしまうことも少なくありませんでした。

 当初、予備日として予定していた2月14日を議論の場とするなど、報告書を形にしていく作業は決して甘くありませんでした。岩崎塾長をはじめとする指導陣からは、「その分析は本当にファクトに基づいているか」「ロジックが破綻していないか」と本質を突く厳しい指摘が飛びます。極めつけは、「その提案は、経営者が明日から納得して実行できる粒度になっているか」という問いでした。私たちは解決策をひねり出す「机上の空論」に酔っていたことに気づかされ、何度も原点に立ち返り、データの再検証と分析のやり直しを泥臭く繰り返しました。

 迎えた最終報告会。プレッシャーの中、チーム一丸となって練り上げた徹底的な現状分析と今後の方向性を、経営陣の皆様にご報告しました。客観的なデータで浮き彫りになった自社の姿に対し、経営陣の皆様からは「ここは気づいていなかった」「では、これからどうすればいい?」といった真剣なコメントや問いかけを次々といただくことができました。現状を正しく伝え、新たな気付きを与えるという私たちの目的が果たせたのだと、胸が熱くなりました。最後にいただいた温かい御礼のお言葉は、これまでの苦労がすべて吹き飛ぶほど嬉しく、今後の大きな励みとなりました。

 この実習で思い知ったのは、「経営者の真の伴走者となる」ことの難しさと重みです。綺麗な解決策を押し付けるのではなく、経営者の孤独に寄り添い、直感や想いを論理で裏付けし、現状を正しく伝えることで確かな気付きを与える。それこそが診断士の役割なのだと、身をもって学びました。また、実習の合間に原会員、義盛会員から実施いただいたミニ講義も、コンサルティングの現場で直ちに活かせる実践的な深い学びが多く、私たちの大きな糧となりました。

 最後になりますが、貴重な機会と温かいお言葉をいただいた対象企業の皆様、共に戦ったチームのメンバー、そして最後まで厳しくも温かく導いてくださった岩崎塾長、義盛会員、原会員をはじめとする関係者の皆様に心より感謝申し上げます。本実習で味わった悔しさと手応えを一生の財産とし、中小企業の発展に貢献できる診断士を目指して走り続けます。

 

(Writer:城南支部 阿波直樹)