10月中旬から11月下旬にかけて、秋山勇志指導員、白井克昌副指導員のもと開催された実務実習に6名の城南コンサル塾18期生が参加しました。対象となったのは、西新宿に3軒の飲食店を運営する企業です。コロナ禍で来客数、売上高が大きく低下するなか、厳しい採算管理でレストラン経営を続けていました。

まず、同社の社長と各店長から経営と営業の実態をうかがいました。事実関係や経緯の確認にとどまらず、周辺エリアへの経営者の思い入れや、苦労しながら高い品質と顧客満足を目指す店長の姿勢にメンバー一同感じ入るところがありました。ファクトの取り込みだけではなく、意欲の湧きあがりを最初に得たように思います。しっかりとした成果につなげたいと感じました。

その後、インタビュー内容とお預かりしたデータのとりまとめ、そして周辺の競合の分析、消費者マインドの変化といった事実を積み上げ、同社の置かれている環境と課題を明確にしていきました。外部環境分析では、新宿という場所柄、競合や顧客の情報ボリュームが大きくなり、担当者はかなり苦労しています。飲食店の経営は、マーケティング、運営と品質の管理、人の問題、そして財務と企業の持つあらゆる側面がコンパクトに凝縮されている印象があります。そういった要素を整理し、複数の店舗で平仄をあわせて分析整理していく作業は、馴れないメンバーにとって時間のかかるプロセスになりました。3店舗の分析スタイル統一に時間を要し、事実に基づいた課題の抽出と提案の策定に入るまでの工程に遅れがあり、一時はかなりの焦燥感がありました。

しかしながら、終盤に向けて全員の意気があがり、熱のこもった議論で企業そして各店舗への具体的な提案を策定するところまでたどり着きました。提案にあたっては、「現実的に手をつけやすいこと、とくに現場ですぐにでも取り組めること」を盛り込んでいます。また、インタビューを通じて捉えた、経営者が漠然と感じている経営方針や理念といったものについて、出来る限り言語化し提示しています。

最終日の報告会で経営者から、まずストレートに納得という感想をいただきました。店舗別の分析内容についても、経営サイドから見た情報と照らし合わせ実感のこもった反応がありました。今回の取り組みにあたり、店舗観察のために数回にわたり同社レストランに通った末すっかりファンになった、盛り上げたい、と語るメンバーもいて、分析と提案は冷静に、同時にハートは熱くという実習期間になったように思います。

(Writer:城南支部 吉田潤)